徒然草 現代語訳 吉田兼好

徒然草を現代語訳したり考えたりしてみる

吉田兼好の徒然草を現代の言葉で書いたり、読んで思ったことを書いています。誤訳や解釈の間違いがありましたらぜひご指摘ください。(序段---冒頭文から順番に書いています。検索窓に、第〇〇段、またはキーワードを入力していただけばブログ内検索していただけると思います)

第百六十五段 自分のテリトリー外で人と交流するのは、見苦しい

関東人が都の人と交際したり、都の人が関東に行って出世したり、はたまた、本寺や本山を離れてる顕教、密教の僧侶etc. すべて自分のテリトリー外で人と交流するのは、見苦しいな ----------訳者の戯言--------- 異業種交流会などもってのほか。国際交流、グ…

第百六十四段 ほんのちょっとの間でも黙ってることって無い

世間の人がお互いに会う時、ほんのちょっとの間でも黙ってることって無いですよね必ず言葉が出ちゃうんだよその内容を聞いたら、だいたい大したことない話で世間のいい加減な噂話とか、人の良し悪し、それぞれにとって、失うものは多くても得るものは少ない…

第百六十三段 太衝の「太」の字は、点を打つのか、打たないのか

(陰陽道で九月をあらわす)太衝の「太」の字は、点を打つのか、打たないのかっていうことが、陰陽道をやってる人の間で論争になったことがあった盛親入道が申しましたことには「(安倍)吉平の自筆の占い文の裏に書かれた記録が、関白の近衛様の家にあるの…

第百六十二段 遍照寺の雑務係の僧が、池の鳥を

遍照寺の雑務係の僧が、池の鳥を日ごろ飼い慣らしてて、お堂の中にまで餌をまいて、戸を一つあけておいたら、無数の鳥が入り籠って、その後、自分も入り、閉め切って、捕えながら殺してる様子が、恐ろしい感じの物音で、それを聞いた草刈りの子どもが人に知…

第百六十一段 桜の花の盛りは

桜の花の盛りは、冬至から150日とも、春分の後、7日とも言うけど、立春から75日で、だいたい間違いはないのだ! ----------訳者の戯言--------- 冬至12月21日だとすると150日後では5月だから遅すぎます。春分が3月21日で7日後だと3月下旬。まあまあ合っては…

第百六十段 普段言ってることに、こんなことは結構多い

門に額をかけるのを「うつ」というのは、よくないのだろうか(書家として知られた)勘解由小路二品禅門(藤原経尹)は「額をかける」とおっしゃった「見物の桟敷うつ」もよくないのだろうか「平張うつ」なんて言うのは普通のことである「桟敷構える」などと…

第百五十九段 みなむすびというのは

「みなむすびというのは、糸を結び重ねたものなんだけど、蜷(みな)という貝に形が似てるからそういうのね」と、ある身分の高い人がおっしゃった「にな」というのは間違いだよ ----------訳者の戯言--------- あちゃー、兼好、断言してますよ。これ、私が第…

第百五十八段 盃の底に残った酒を捨てるのは

「盃の底に残った酒を捨てるのは、どういうことだと思う?」と、ある人がお尋ねになったので、「凝当(ぎょうとう)と申しますのは、底にたまったものを捨てることではございません?」と申しましたところ、「そうではない。魚道だ。酒を残して(魚がいつも…

第百五十七段 筆を持てば自然と文章を書くし

筆を持てば自然と文章を書くし、楽器を持てば音を鳴らそうと思う盃を手に取ればお酒が飲みたくなり、サイコロを持つと博打がしたくなる心は必ず物事に触れて動き出すんだだから仮にでも良くない遊びをしてはいけません ちょこっと経典のワンセンテンスを見た…

第百五十六段 大臣に就任したときのお披露目宴会

大臣に就任したときのお披露目宴会は、しかるべき所を申し受けて行うのが普通のことです宇治左大臣の藤原頼長殿は、東三条殿で開催されましたここは内裏(皇居)だったんですが、左大臣殿が申し出られたことによって、帝はそのとき他所へ行幸されたのですこ…

第百五十五段 世の中に合わせて生きようという人は

世の中に合わせて生きようという人は、まず頃合いを知るべきだよ順序を間違うと、人から受ける評価も悪くなり、共感を得られず、物事は成功しないだから、そういうタイミングのとり方をマスターするべきなんだ ただし、病気にかかること、出産すること、死ぬ…

第百五十四段 東寺の門で雨宿りなさってた時

この人(日野資朝)が、東寺の門で雨宿りなさってた時、身体に障がいのある者たちが集まってたんだけど、手も足もねじれ歪んで、反り返って、みんなが不具で、異様なのを見て、様々に比類なき変わり者である、全くもって愛すべき存在だと思って、見守ってら…

第百五十三段 為兼大納言入道が召し捕らえられて

為兼大納言入道が召し捕らえられて、武士たちが取り囲んで六波羅へ連れて行ったんだけど、(日野)資朝卿は一条あたりでこれを見て、「ああうらやましい。この世に生きた思い出は、こんな感じでありたいもんだよねえ」と言われたんだ ----------訳者の戯言--…

第百五十二段 西大寺の静然上人は、腰が曲がってて、眉は白くて

西大寺の静然上人は、腰が曲がってて、眉は白くて、ほんとに徳が高そうな容貌で、内裏へお出向きになったのを西園寺内大臣殿が「ああ尊いご様子だなあ」といって信仰心を抱かれたようだったんだけど(日野)資朝卿がこれを見て「歳を取ってるんでございます…

第百五十一段 五十歳になるまで上手くならない芸は

ある人の言うことには、五十歳になるまで上手くならない芸は、捨てるべきだよ、ってたしかに、がんばって練習しても見込みは無いっスからね老人の事なんで、人もよう笑わんのよ多くの人と交わるのも、情けなくて見苦しいですねだいたいにして、全部仕事はや…

第百五十段 芸を身につけようとする人が

芸を身につけようとする人が「上手くないうちは、うかつに人に知られないようにしよう。内々でよく練習して上手くなってから人前で披露したら、すごく素敵だろうから」と、よく言うようだけど、こんな風に言う人は、一芸も習得できないよまだ全然できてない…

第百四十九段 鹿茸を鼻にあてて嗅いではいけない

鹿茸(ろくじょう)を鼻にあてて嗅いではいけない小さい虫がいて、鼻から入って脳を食べるかもって言われてる ----------訳者の戯言--------- 脳を食べるかどうかは別として、虫はいるかもしれない。 鹿茸は、生え変わったばかりの(雄の)鹿の角のことだそ…

第百四十八段 四十過ぎの人が、身体に灸をすえる時

四十過ぎの人が、身体に灸をすえる時、三里を焼かないと、のぼせることがある必ずそこに灸をすえるべきだよ ----------訳者の戯言--------- 個人的には、へーそうなの。としか言いようがない。お灸なんてしないし。 けど、現代も鍼灸というものがあるんです…

第百四十七段 お灸の痕が

お灸の痕が体中のいろんなところにあったら、神事に穢れがあるってことは、最近の人が言いだしたんだ格式(昔からの決まりごと)なんかには見られないってことだよ ----------訳者の戯言--------- たまに、こういうどうでもいいの、ぶっこんできます。 【原…

第百四十六段 人相占い師

明雲座主が、人相占い師に会われて「私はもしかしたら武器で災難に合う可能性あります?」とお尋ねになったところ、その占い師が「まさにその相がございます」と言ったんだ「どんな相だ?」とお尋ねになったら「傷つけらるような可能性がない立場の方なのに…

第百四十五段 落馬する相がある人

御随身の秦重躬が、北面の武士の下野入道信願に「あなた、落馬する相がある人ですよ。よくよく気をつけておきなさいな」って言ったのを、そんなに信じてはなかったんだけど、実際、信願は馬から落ちて死んだのその道に精通した人の一言は、神のようだと人々…

第百四十四段 栂尾の(明恵)上人が

栂尾の(明恵)上人が、道を通り過ぎられたんだけど、川で馬を洗っている男が、「足足」と言ったんで、上人は立ち止まって、「ああ尊い! 前世の善行が現世で身を結んでる、立派な人だよ。阿字阿字と唱えるとはね! どんな人の御馬だろうか。すごく尊く思わ…

第百四十三段 人のご臨終の様子がすばらしかったこと

人のご臨終の様子がすばらしかったことなんかを、誰かがしゃべるのを聞いてて、ただ「静かで混乱も無かったよ」って言うんだったら、心苦しいってこともないんやけど、愚かな人ってのは、ミステリアスな、いつもと違ってた様子だったかのように誇張し直して…

第百四十二段 思慮が足りないように見える者も

思慮が足りないように見える者も、いい一言を言うことはあるもんだよねある荒々しい田舎出の恐ろしげな者が、そばにいる人に向かって、「子どもはいますか?」と質問したんで「一人もいません」と答えたんだけど、「だったら、人の心の機微や情緒はおわかり…

第百四十一段 悲田院の尭蓮上人は

悲田院の尭蓮上人は、俗姓は三浦の某とか言う、トップクラスの(元)武者なのです故郷の人が来てお話をした時に、「関東人は言ったことが信頼できる。都の人は受け答えだけはいいけど、実体がともなってない」と言ったのを聞いて、上人は、「それはそう思わ…

第百四十段 死んだ後に財産を残すっていうことは

死んだ後に財産を残すっていうことは、知性のある者はしないのだよよからぬ物を蓄え置くのは見苦しいし、いい物だとすると、それにこだわったように見えて、それはそれで哀しいよね莫大な財産を残すのは、ますます残念さ「私がぜひ相続したい」なんて言う者…

第百三十九段 家にあってほしい木は

家にあってほしい木は、松、桜松は五葉松もいいです桜の花は一重なのがいいんだ八重桜は奈良の都だけにあったんだけど、最近は、世の中にたくさん出回ってるんだよな吉野の花も、左近の桜も、どれも全部一重なのであってだから八重桜は異様な物めっちゃ大げ…

第百三十八段 葵祭が終わったら

「葵祭が終わったら、後の葵はいりませんわ」って言って、ある人が御簾についてる葵を全部取らせなさったのが、雰囲気ないなーと思いましたが、レベルの高い人がなさることなんで、そうなんかなーっても思ったんだけども、実は周防内侍が、 かくれどもかひな…

第百三十七段⑤ あの桟敷の前を

あの桟敷の前を大勢の人が行き交うんだけど、その中に顔見知りがいっぱいいることから、わかるんだ、世の中の人の数もそれほど多くは無いってことをねこの人たちがみんな亡くなった後、自分も死ぬと決まってるんだけど、待ってたらすぐにその時はやって来る…

第百三十七段④ 葵の葉を

何にっていうわけではなくいろんなところに葵の葉を掛け渡してるのが優美な感じで、まだ夜が明けきらない頃に、ひっそりとやって来る牛車に心がときめいて、乗っているのはこの人か、あの人かなーなんて思いを寄せてると、牛飼いや下僕などの知ってる人もい…