徒然草 現代語訳 吉田兼好

徒然草を現代語訳したり考えたりしてみる

吉田兼好の徒然草を現代の言葉で書いたり、読んで思ったことを書いています。誤訳や解釈の間違いがありましたらぜひご指摘ください。(序段---冒頭文から順番に書いています。検索窓に、第〇〇段、またはキーワードを入力していただけばブログ内検索していただけると思います)

第百九十九段 横川行宣法印が申されたんだけど

横川行宣法印が申されたんだけど「中国は呂(音)の国である。律の音は無い。日本は律音だけの国であって、呂の音は無い」ということだよ


----------訳者の戯言---------

音楽理論には疎いのでよくわからないんですが、十二平均律、つまりオクターブを半音ごとに12音に分けるという考えに基づいているんだろうと思ったので、調べてみました。

中国とか日本でも十二律という理論があったようです。
この12個の音を西洋音楽の音名にすると、C、C#、D、D#、E、F、F#、G、G#、A、A#、Bだそうですね。
しかしこれだけ見ると西洋音楽と音的にはまったく変りないです。

ただ、奇数番目の6音を律と言い、偶数番目の6音を呂と言ったらしいですから、横川行宣法印という人が言ってることがよくわからなくなるんです。

6音音階というのは実はあまりなんですよね。
ただ、琉球音階は6音音階(ヘキサトニックスケール)と言われています。
7音音階ですものね、普通は。Cルートならドレミファソラシ(ド)、ダイアトニックスケールが普通なんですよ。
5音音階も民族音楽とかではよくあります。所謂ペンタトニックスケールもそうですね。

でもいずれにしても横川理論の六音音階は、普通ではありえない音階ですよね。
呂の音が無いとか、律の音が無いとか。

ただ、雅楽には古くから使われている音階(スケール)があります。
それが、律旋法と呂旋法です。
いずれも5音音階です。
律旋法は、C、D、F、G、A、(C)
呂旋法は、C、D、E、G、A、(C)
律旋法のほうは半音上げてC#を起点にすればC#、D#、F#、G#、A#、(C#)ですから、ピアノで弾くには、2コ並んでる方の黒鍵の左側から黒鍵だけ順番に弾いていくとこの音階になりますね。
呂旋法はF#の黒鍵から、すべて黒鍵を弾くとそれっぽい感じです。

弾いてみたら、中国音楽っぽいです。特に呂旋法のほう。
で、やはり日本の雅楽は律旋法がほとんどらしいです。
中国ではどっちもアリみたいですが、やっぱり呂旋法が多いとか。

ということでした。
邦楽とかやってたらすぐわかったのかもしれないんですが、ずいぶん手間取ってしまいましたよ。

ところで横川行宣法印って何者?
調べてみましたが、この徒然草にしか出てこない人なんです。
どうしようもないですね。


【原文】

横川行宣法印が申しはべりしは、「唐土は呂の國なり、律の音なし。和國は單律の國にて呂の音なし。」と申しき。


検:第199段 第199段 横川行宣法印が申し侍りしは 横川行宣法印が申し侍りしは