徒然草 現代語訳 吉田兼好

徒然草を現代語訳したり考えたりしてみる

吉田兼好の徒然草を現代の言葉で書いたり、読んで思ったことを書いています。誤訳や解釈の間違いがありましたらぜひご指摘ください。(序段---冒頭文から順番に書いています。検索窓に、第〇〇段、またはキーワードを入力していただけばブログ内検索していただけると思います)

第百二十九段 顔回は、信条として

顔回孔子第一の弟子)は、信条として、人に苦労をかけることはしない、と決めてたのね
たとえどんなことがあっても、人を苦しめたり、物を傷つけることをしたり、身分の低い民の志だったとしてもその気持ちを奪っちゃいけないんだよ
また、幼い子どもを、お遊びでおどかしたり、辱めるようなことを言って面白がることあるよね
大人からすると、マジなことじゃないから、どうってことないと思うんだけど、子ども心には、身にしみて恐ろしくて、恥しくて、情けない思いは本当に切実なんだ
幼い子どもを悩ませて面白がるのは、慈悲の心があるって言えないよ

大人が、喜び、怒り、悲しみ、楽しむのも、すべて(物理的なものじゃなく、実体の無い)架空の迷いなんだけど、誰もが実在してるものだと錯覚してそれにこだわっちゃうんだよね
体を傷つけるよりも、心を傷つけるほうが、人をよりいっそう大きく傷つけるんだ
病気にかかるのも、その多くは精神的なものからくるものさ
むしろ外的要因による病気は少ないね
薬を飲んで汗を出そうとしても効果が無いこともあるけど、一旦、恥ずかしかったり怖かったりすることがあると、必ず汗をかくのは、心に原因があるってことを理解しておくべきだよ
凌雲観の額を書いて、白髪頭になった例も無いわけではないからね


----------訳者の戯言---------

たしかに病は気からと言います。
もちろん心因性の病気もたくさんありますけど、外的な要因による病気もたくさんありますからね。
兼好説に科学的根拠は一切なしです。

しかしそれでも、心が身体に影響を及ぼすことを、発汗作用だけで強引に結論づけるという力技(汗)
しかも「必ず」って(汗)

白血球が基準値超えてるし、コレステロール150超えてるし、血圧も高めですし、ほんま「心」だけではどうしようもないです。
食生活変えるしかないと(汗)

凌雲観っていうのは中国のめっちゃ高い建物らしいですけど、ここの上の方の額に建物名を書家に書かせた時、恐怖で白髪頭になっちゃったとのこと(汗)
いやいや、無いから(汗)

汗だらけ。


【原文】

顔囘は、志、人に勞を施さじとなり。すべて、人を苦しめ、物を虐ぐる事、賎しき民の志をも奪ふべからず。また、幼き子を賺し、嚇し、言ひ辱しめて興ずることあり。大人しき人は、まことならねば、事にもあらず思へど、幼き心には、身にしみて恐ろしく、恥づかしく、浅ましき思ひ、誠に切なるべし。これを惱して興ずる事、慈悲の心にあらず。

大人しき人の、喜び、怒り、哀れび、樂しぶも、皆 虚妄なれども、誰か實有の相に著せざる。身を破るよりも、心を痛ましむるは、人を害ふ事なほ甚だし。病を受くる事も、多くは心より受く。外より來る病は少なし。藥を飮みて汗を求むるには、驗なき事あれども、一旦恥ぢ恐るゝことあれば、必ず汗を流すは、心のしわざなりといふことを知るべし。凌雲の額を書きて、白頭の人となりし例なきにあらず。


検:第129段 第129段 顔回は、志、人に労を施さじとなり