第七十四段 蟻のように集まって
蟻のように集まって東西に急ぎ南北に走る
身分の高い者あり低い者あり
年老いた人あり若い人あり
行く所あり帰る家あり
夜寝て朝起きる
人の営みって何なんだろう
やたらと生に執着し 金を求めてやまない
身を養って何を待つっていうんだろう
結局行きつくところ
ただ老いと死となのにさ
そんなことすぐにやってくるものだし
一瞬で過ぎ去ってしまうものなんだよ
これを待つ間 何の楽しみがあるのだろう
※世俗にまみれている者はこれを恐れない
名声や金に溺れて
死の近いことを顧みないからなのさ
愚か者はこれを悲しむ
不死でありたいと願うばかりで
物は変化するという道理を知らないからさ
※repeat
----------訳者の戯言---------
メッセージソング的。
ボブ・ディランとかの感じですか。
というわけで、今回は歌詞風(訳詞風)に訳して、それっぽく改行してみました。
何となくかっこいい。
3段落目はサビなので2回リピートでお願いします。
【原文】
蟻の如くに集りて、東西に急ぎ、南北に走る。貴きあり、賎しきあり。老いたるあり、若きあり。行く所あり、歸る家あり。夕に寝ねて、朝に起く。營む所何事ぞや。生を貪り、利を求めてやむ時なし。
身を養ひて何事をか待つ、期するところ、たゞ老と死とにあり。その來る事速かにして、念々の間に留まらず。これを待つ間、何の樂しみかあらむ。惑へるものはこれを恐れず。名利に溺れて、先途の近きことを顧みねばなり。愚かなる人は、またこれをかなしぶ。常住ならんことを思ひて、變化の理を知らねばなり。
検:第74段 第74段 蟻のごとくに集まりて 蟻の如くに集まりて