第三十三段 今の内裏がつくられて
今の内裏がつくられて、有職故実に通じた人々にお見せになったところ、いずれも問題無いってことだったのよね
で、だいぶ天皇ご譲位も近づいたんで、玄輝門院がご覧になったんだけど「閑院殿の櫛形の窓は、丸く、縁もありませんでした」と、ご指摘された、これはすばらしいことでしたよ
今現在は、窓に葉の縁のような切れ込みが入ってて、木で縁どりされてますから、間違いなので直されたということですね
----------訳者の戯言----------
細かいことはようわかりませんが、帝のお屋敷をつくったんで、チェックできるはずの物知りの人に聞いたらOKだったんだけど、以前の皇后かつ天皇のお母様でもあった玄輝門院が「違うんじゃない」ってまさに的確なご指摘。
で、ちゃんと直されたと。
まーね、ちゃんとしようやないですかってことです、伝統のものなんだし。そして、名前ばかりの権威主義はだめってことですかね。
【原文】
今の内裏作り出されて、有職の人々に見せられけるに、いづくも難なしとて、すでに遷幸の日近くなりけるに、玄輝門院の御覽じて、「閑院殿の櫛形の穴は、まろく、縁もなくてぞありし。」と仰せられける、いみじかりけり。
これは葉の入りて、木にて縁をしたりければ、誤りにて直されにけり。
検:第33段 第33段 今の内裏作り出だされて 今の内裏作り出されて