徒然草 現代語訳 吉田兼好

徒然草を現代語訳したり考えたりしてみる

吉田兼好の徒然草を現代の言葉で書いたり、読んで思ったことを書いています。誤訳や解釈の間違いがありましたらぜひご指摘ください。(序段---冒頭文から順番に書いています。検索窓に、第〇〇段、またはキーワードを入力していただけばブログ内検索していただけると思います)

第二百二十一段 建治、弘安の頃は

「建治、弘安の頃は、葵祭の日の放免(検非違使庁のスタッフ)が身に着ける飾りとして、エキセントリックな紺の布、四五反で馬を作って、尻尾とたてがみには灯心(いぐさで作った火を灯す用具)を使い、蜘蛛の巣を描いた水干(カンタンな服)につけて、『歌…

第二百二十段 鐘の音は、黄鐘調であるべき

「何ごとにおいても田舎は、賤しくて、粗野なんだけど、四天王寺の舞楽だけは都のと比べても恥ずかしくないですよねー」って言ったら、四天王寺の雅楽の演奏家が申しましたのは、「うちの寺の楽は、ピッチ(基準音)をしっかり正確に示すことによって楽器の…

第二百十九段 横笛の五の穴は

四条黄門がおっしゃるには「(豊原)竜秋は、笙の道においては最高レベルのプレイヤーだよ。先日来て言うには、『考えが浅くて、きわめて不躾な事ではありますけど、横笛の五の穴は、ちょっとワケわからんとこがある、と、秘かにそう思ってます。それはなん…

第二百十八段 狐は人に噛みつくものである

狐は人に噛みつくものである堀川家のお屋敷で、スタッフが寝ている時に足を狐に噛まれたんだ仁和寺では夜、本堂の前を通る下級の僧侶に、狐が三匹飛びかかって噛みついたので、刀を抜いてこれを防ぎ、その間に狐二匹を突いたのねで、一匹は突き殺したのでも…

第二百十七段 ある大富豪が言うには

ある大富豪が言うには、「人は何を置いても、とことん富を追求すべきなんだよ。貧乏では生きる甲斐も無い。裕福な者だけを人として認めることができるのさ。富を成そうと思うなら、当たり前のこととして、まずその気遣いを会得して、実行すべきなんだ。その…

第二百十六段 最明寺入道(北条時頼)が、鶴岡八幡宮への参詣のついでに

最明寺入道(北条時頼)が、鶴岡八幡宮への参詣のついでに、足利左馬入道(足利義氏)のもとへ、先に使いをやって立ち寄られた時、主人の義氏が接待されたその様子っていうのが、最初の膳には「干し鮑(アワビ)」、二番目の膳には「えび」、三番目の膳には…

第二百十五段 平宣時朝臣が年老いて後、昔語りに

平宣時朝臣が年老いて後、昔語りに「最明寺入道(五代執権北条時頼)が、ある日の夜、私をお呼びになったことがあって『すぐに参ります』と申しながら、ちゃんとした直垂(衣装)がなくてあれこれやってる間に、また使いが来て『直垂などがございませんので…

第二百十四段 「想夫恋(そうふれん)」という雅楽の曲は

「想夫恋(そうふれん)」という雅楽の曲は、妻が夫を恋慕するからついた曲名ではない元々は「相府蓮(そうふれん)」と言って、これに文字を当てたんだね晋の王倹が、大臣として家に蓮を植えて愛した時の雅楽なんだこれによって大臣を「蓮府」と言います 「…

第二百十三段 天皇の御前での火鉢に炭を入れる時は

天皇の御前の火鉢に炭を入れる時は、火箸で挟んではいけない土器から直接移すべきなのだよであるからして、転がり落ちないように、気をつけて炭を積むべきなんだ 天皇が石清水八幡宮に行かれた時、お供をした人が、浄衣を着て、手で炭を入れてたんだけど、あ…

第二百十二段 秋の月は、この上なく素晴らしいものだよ

秋の月は、この上なく素晴らしいものだよ「いつだって月って、こんなもんでしょ」と、違いがわからない人っていうのは、まったく情けないよね ----------訳者の戯言--------- ま、兼好法師は月大好き人間ですからね。第百三十七段でもマニアックなところが垣…

第二百十一段 全てのこと、なんでもかんでも、アテにするもんじゃない

全てのこと、なんでもかんでも、アテにするもんじゃない愚かな人っていうのは、ものごとを頼りにし過ぎるから、結局は恨んで怒ったりすることになるんだ 勢いがあるからといってアテにするもんじゃない強い者はまず亡びるんだよお金持ちだからって期待するも…

第二百十段 喚子鳥(よぶこどり)は春の物である

「喚子鳥(よぶこどり)は春の物である」とだけは言われてて、でもどんな鳥なのか、明確に書かれた物は無いんだある真言宗の本の中に、喚子鳥が鳴く時に死者の魂を招いて供養する法を行うやり方が載ってるのでもこれは鵺(ぬえ=トラツグミ)のことなのね万…

第二百九段 田のことで訴訟に負けて

ある人が田のことで訴訟に負けて、逆恨みして「あの田んぼ刈り取って来て!」って、人を使ってやらかそうとしたんだけど、まず、そこに行く途中の田んぼも刈りながら行ってたんで、「これは訴訟で争ったとこじゃないじゃんよ。なんだそれ」と言ったところ、…

第二百八段 経文などの紐を結ぶ時

経文などの紐を結ぶ時、上と下からたすき掛けにして、二筋の紐の中から、紐の先を横向きに引きだすのは、普通のことであるでも、そのようにしたのを、華厳院弘舜僧正は解いてやり直させたんだ「これは最近のやり方だ。とてもみっともない。美しいのは、ただ…

第二百七段 亀山殿をお建てになるっていうことで

後嵯峨院が亀山殿をお建てになるっていうことで、地ならしをしてた時、無数の大きな蛇が密集してる塚があったんだこの地の神である、と言って、事の次第を申し上げた所、「どうしたものか」と院からご質問があったので、「古くからこの地を占めている物なの…

第二百六段 牛が牛車からはずれて

今は亡き徳大寺の大臣殿(徳大寺公孝)が、検非違使庁の長官だった時、中門の渡り廊下で庁のミーティングが行われてたんだけど、下級役人の(中原)章兼の牛が牛車からはずれて、庁舎の中に入って、長官がお座りになる大理の座の浜床の上に登って、食べ物を…

第二百五段 起請文というものは

比叡山で、伝教大師(最澄)の御霊をお招きして書く「起請」というのは、慈恵僧正が書き始められたことなのね起請文というものは、法律家は取り扱わないんだ昔、聖なる方が治めた時代には、起請文に基いて行われる政治なんか全然なかったのに、近年は、この…

第二百四段 罪人を鞭で打つ時は

罪人を鞭で打つ時は、拷問器具に寄せて縛りつけるんだよでも拷問器具の様子も、引き寄せる方法も、今は知ってる人はいないってね ----------訳者の戯言--------- そんな怖いこと知らんでよろしい。 ちなみに「犯人」は当時「ぼんにん」と読んだらしいです。 …

第二百三段 天皇の命により謹慎処分を受けた人の家に靫(ゆぎ)をかける作法

天皇の命により謹慎処分を受けた人の家に靫(ゆぎ)をかける作法は、今は全然知ってる人もいないよ天皇のご病気や、概ね世の中が不安定な時は、五条の天神に靫がかけられるんだ鞍馬の由岐の明神というのも、靫をかけられた神社だよ看督長が背負った靫を、そ…

第二百二段 十月を神無月と言って

十月を神無月と言って、神事を敬遠すべきってことは、書いてある書物が無いんです根拠となる文献もありませんただ、この十月はどの神社も祭りをしないから、この名があるんでしょうか この月、全部の神々が、伊勢の皇大神宮へ集われるという説がありますけど…

第二百一段 退凡、下乗の卒塔婆で

退凡、下乗の卒塔婆で、外側にあるのが下乗の卒塔婆、内側にあるのが退凡の卒塔婆です ----------訳者の戯言--------- 仏教に関わってる人にとっては重要かもしれませんが。ま、私にはどうでもいいです。たぶん、お坊さんにとっても、どっちでもいいと思う。…

第二百段 呉竹は葉が細くて、河竹は葉が広いよ

呉竹は葉が細くて、河竹は葉が広いよ清涼殿の前の御溝水に近いのは河竹、仁寿殿のほう寄りに植えられてるのは呉竹なんだ ----------訳者の戯言--------- それで? 【原文】 呉竹は葉ほそく、河竹は葉ひろし。御溝にちかきは河竹、仁壽殿の方に寄りて植ゑられ…

第百九十九段 横川行宣法印が申されたんだけど

横川行宣法印が申されたんだけど「中国は呂(音)の国である。律の音は無い。日本は律音だけの国であって、呂の音は無い」ということだよ ----------訳者の戯言--------- 音楽理論には疎いのでよくわからないんですが、十二平均律、つまりオクターブを半音ご…

第百九十八段 揚名の介(すけ)に限らず

揚名の介(すけ)に限らず、揚名の目(さかん)というものもある「政事要略」に書いてあるんだ ----------訳者の戯言--------- 国司というのは朝廷から地方に派遣された官職で、守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)、目(さかん)という四等官があって、ま…

第百九十七段 定額の女孺

寺々の僧についてだけじゃなくって、定額の女孺というのが、延喜式に書いてあるよすべて、定員が決まっている公務員に共通する呼び方なんだね ----------訳者の戯言--------- 「定額」というのは、ケータイの定額プランとかいうときの定額と、まあ、似てはい…

第百九十六段 東大寺の御神輿が東寺の若宮八幡宮からお戻りになる時

東大寺の御神輿が東寺の若宮八幡宮からお戻りになる時、源氏の公卿たちが参上してて、この殿(久我通基)が近衛府の大将だったんだけど、護衛の者に道をあけるように指示をなさってたのを、土御門相国(土御門定実)が、「神社の前で警蹕(けいひつ=声をか…

第百九十五段 ある人が久我縄手を通ってたら

ある人が久我縄手を通ってたら、小袖に大口袴を着た人が、木造りの地蔵を田の中の水に浸して念入りに洗っておりました事情がわからず見てたんですが、狩衣を着た男性が2、3人出てきて、「ここにいらっしゃったよ!」と言って、この人を連れ去ってしまったん…

第百九十四段 達人が人を見る目は、少しも間違うことはない

達人が人を見る目は、少しも間違うことはないでしょう たとえば、誰かが世間に嘘を語って人を騙そうとした時、次のような人がいますね①素直にホントのことだと信じて、言うままに騙される人②あまりにも深く信じ込んで、さらにあれこれ嘘を自分の感じたまま盛…

第百九十三段 道理をわかってない人が、他人を推し量って

物事の道理をわかってない人が、他人に見当つけてその人の知的レベルがわかった!なんて思っても、それ全然、的外れに決まってるよね 人としては未熟なんだけど、碁を打つことに関してだけは鋭くて上手い人が、賢明なんだけど囲碁に関しては下手な人を見て、…

第百九十二段 神仏にも、人が参詣しない日の夜

神仏にも、人が参詣しない日の夜、参詣するのがいい ----------訳者の戯言--------- 短い…。前の段のつけたし感ハンパない。 【原文】 神佛にも、人の詣でぬ日、夜まゐりたる、よし。 検:第192段 第192段 神仏にも、人の詣でぬ日 神仏にも、人のまうでぬ…