第百七十六段 宮中の「黒戸」は
宮中の「黒戸」は、小松御門(光孝天皇)がご即位なさって、昔普通の人(まだ天皇ではなく、臣下)でいらっしゃった時に戯れに料理を作られたのをお忘れにならず、いつも料理をなさってた部屋なのね
薪ですすけてたので、黒戸と言うってね
----------訳者の戯言---------
天皇となった後も料理をなさってた、ということですね。
ネーミングについては第百十六段にもありました。単純なのがいいね、と兼好法師、おっしゃってます。
今回のも、たぶん兼好的にはgoodなんだと思う。
【原文】
黑戸は、小松の御門 位に即かせ給ひて、昔 唯人に坐しし時、まさな事せさせ給ひしを忘れ給はで常に營ませ給ひける間なり。御薪に煤けたれば黑戸といふとぞ。
検:第176段 第176段 黒戸は、小松御門位につかせ給ひて