第百五十九段 みなむすびというのは
「みなむすびというのは、糸を結び重ねたものなんだけど、蜷(みな)という貝に形が似てるからそういうのね」と、ある身分の高い人がおっしゃった
「にな」というのは間違いだよ
----------訳者の戯言---------
あちゃー、兼好、断言してますよ。
これ、私が第百四十五段の余談として「とうさつりょく」か「どうさつりょく」か、さんざん語ったやつですね。
ちょうどこの時代、「みな」→「にな」の過渡期だったんでしょう。彼は昔大好き人間なんでね、仕方ないですけどね。
ご存知のとおり、今、蜷は「にな」としか言わんし。
「みな」ってテストで書いたら×やし。
亡くなったけど、蜷川幸雄に「みながわ先生」とか言うたら、灰皿投げられただろう。
パワハラかよ、怖いんだよ!
【原文】
「みなむすびといふは、絲をむすびかさねたるが、蜷といふ貝に似たればいふ」と或やんごとなき人、仰せられき。「にな」といふは誤りなり。
検:第159段 第159段 みなむすびといふは