第百四十六段 人相占い師
明雲座主が、人相占い師に会われて「私はもしかしたら武器で災難に合う可能性あります?」とお尋ねになったところ、その占い師が「まさにその相がございます」と言ったんだ
「どんな相だ?」とお尋ねになったら「傷つけらるような可能性がない立場の方なのに、仮定の話としても、このように思われてお尋ねになったこと、これが既にその危険の兆候なのです」と申したのね
結果的には、矢に当たってお亡くなりになったんです
----------訳者の戯言---------
人相占いですね。
ここで言われているのは、現代で言うところの「コールド・リーディング」というものです。
ただ、この占い師の方、人が善いというか、タネあかししちゃってます。
プロは普通は言わないんですけどね。
ただ、この占い師はスキルが高いと言えるでしょう。
また、占いが単なるオカルトではないということでもあります。
このほか、「ホット・リーディング」というのも存在するんですが、ここでは割愛。
いずれも詳細はググってみてください。
【原文】
明雲座主、相者に逢ひ給ひて、「己若し兵仗の難やある」と尋ねたまひければ、相人、「實(まこと)にその相おはします」と申す。「いかなる相ぞ」と尋ね給ひければ、「傷害の恐れおはしますまじき御身にて、假にもかく思しよりて尋ね給ふ。これ既にそのあやぶみの兆なり」と申しけり。
はたして矢にあたりて失せ給ひにけり。
検:第146段 第146段 明雲座主、相者にあひ給ひて 明雲座主相者にあひ給ひて 明雲座主、相者に逢ひ給ひて