徒然草 現代語訳 吉田兼好

徒然草を現代語訳したり考えたりしてみる

吉田兼好の徒然草を現代の言葉で書いたり、読んで思ったことを書いています。誤訳や解釈の間違いがありましたらぜひご指摘ください。(序段---冒頭文から順番に書いています。検索窓に、第〇〇段、またはキーワードを入力していただけばブログ内検索していただけると思います)

第百三十五段 資季大納言入道とかいう人が

(藤原)資季大納言入道とかいう人が、(源)具氏宰相中将に会ったとき、
「あんたが質問する程度のことは、どんなことでも、お答えできないことはないですよ」
と言われたんで、具氏は
「さあどうしましょう」
と申されて、
「なら、挑戦してくださいよ」
って言われたもんだから、
「重要事項は私は全然勉強してへんし知らんから、質問することもできません。何でもない、どうでもいいことの中で、ようわからんことをご質問しましょう」
と申されたのね
「身近でつまんないことなんかだったら、ましてや何でも全部明らかにしてお答え申し上げましょう」
って言われたんで、側近の人々や女子職員なんかも
「面白そーだね! どうせ同じことなら、天皇の御前で勝負したら? 負けた人は御馳走するんですよ」
って決めて、天皇が御前に二人を呼んで勝負させたんだけど、
具氏が
「幼い頃から聞きなれてるけど、その意味を知らないことがございます。『むまのきつりやうきつにのをかなかくぼれいりくれんとう』っていうのは、どんな意味でしょう?」
と申されたんで、大納言入道はそこで「!!」と詰まって、
「これはつまらん事やから、言うまでもない」
なーんて言われて…
「もともと重要な事は知りません、つまんない事を質問します、って約束申し上げましたやん」
と申されたから、大納言入道の負けってことになって、賭けてた御馳走を盛大にふるまわれたんだってさ


----------訳者の戯言---------

何となく読める展開。
案の定のオチ。

さて、問題の「むまのきつりやうきつにのをかなかくぼれいりくれんとう」ですが。
実はこれ、まだ解明されていないらしいです。
諸説あり、答えは「雁」とか「枯れ木」だとか、元々「意味がない文字の羅列」とする説、「今考えても当時のことなんかわかるわけねー」とあきらめちゃってる説?もあるようですね。
詳しくは、ググってみてください。
もしくは図書館とかで調べて論文にしてください。

私は、もちろん少しもわかりません。
また時間ができたら考えてみます。


【原文】

資季大納言入道とかや聞えける人、具氏宰相中將に逢ひて、「わぬしの問はれむ程の事、何事なりとも答へ申さざらむや」とい言はれければ、具氏、「いかゞ侍らむ」と申されけるを、「さらば、あらがひ給へ」といはれて、「はかばかしき事は、片端もまねび知り侍らねば、尋ね申すまでもなし。何となきそゞろごとの中に、覺束なき事をこそ問ひ奉らめ」と申されけり。「まして、こゝもとの淺きことは、何事なりともあきらめ申さん」といはれければ、近習の人々、女房なども、「興あるあらがひなり。同じくは、御前にて爭はるべし。負けたらん人は、供御をまうけらるべし」と定めて、御前にて召し合せられたりけるに、具氏、「幼くより聞きならひ侍れど、その心知らぬこと侍り。『むまのきつりやうきつにのをかなかくぼれいりぐれんとう』と申すことは、いかなる心にかはべらむ。承らむ」と申されけるに、大納言入道、はたとつまりて、「これは、そゞろごとなれば、云ふにも足らず」といはれけるを、「もとより、深き道は知り侍らず。そゞろ言を尋ね奉らむと、定め申しつ」と申されければ、大納言入道負けになりて、所課いかめしくせられたりけるとぞ。


検:第135段 第135段 資季大納言入道とかや聞えける人