第四十段 栗ばっかり食べて
因幡の国に、何とか入道とかいう者の娘が美人だというので、多くの男が結婚を申し込んでたんだけど、実はこの娘は栗ばっかり食べて、米の類を全然食べないので「こんな変人を人様に嫁がせるわけにはいかない」と言って、親は結婚を許さなかったんですと
----------訳者の戯言----------
美人だけど偏食。
私は全然OKですが。
ちなみに栗はでんぷん質の食べ物なので、ちゃんと穀物と同等のエネルギー源になります。しかもナッツ類にしては脂質が少なくてヘルシー。たんぱく質、ビタミン類、ミネラル分も豊富で、食物繊維も多いですし、渋皮にはポリフェノールも多く含んでいます。なかなかいい食物なのです。
【原文】
因幡(いなば)の國に、何の入道とかやいふものの女、かたちよしと聞きて、人あまたいひわたりけれども、この娘、ただ栗をのみ食ひて、更に米のたぐひを食はざりければ、「かゝる異樣のもの、人に見ゆべきにあらず」とて、親ゆるさざりけり。