徒然草 現代語訳 吉田兼好

徒然草を現代語訳したり考えたりしてみる

吉田兼好の徒然草を現代の言葉で書いたり、読んで思ったことを書いています。誤訳や解釈の間違いがありましたらぜひご指摘ください。(序段---冒頭文から順番に書いています。検索窓に、第〇〇段、またはキーワードを入力していただけばブログ内検索していただけると思います)

第百九十一段 「夜になったら物の見栄えがよくない」と言う人は、すごく残念

「夜になったら物の見栄えがよくないよな」なんて言う人は、すごく残念だよあらゆる煌びやかな物々、装飾、ハレの場所なんかも、夜が最高に素敵に見えるものなのにさ昼はシンプルで、地味めなスタイルでもOKかもしれないがでも夜は、派手めで華やかな衣装が…

第百九十段 妻というものは

妻というものは、男が持ってはいけないものなのだ「いつも一人暮らしで」なんて聞くと素敵に思うし、「誰だかの婿になった」とか、また「どんなだかの女を迎えて一緒に住んでいる」なんて聞いたら、ガッカリ感ハンパないんだよたいしたこと無い女をいいと思…

第百八十九段 今日は、その事をやろうと思ってても

今日は、その事をやろうと思ってても、予想もしなかった急ぎの用が先にできちゃって、まぎれてるうちに一日が過ぎて、待ってた人は不都合があって来れなくなり、期待できない人が来て、願ってた方面のことはダメで、思いもよらない類のことばっかりかなえら…

第百八十八段③ 一つのことを必ず成就させようと思うんだったら

一つのことを必ず成就させようと思うんだったら、他のことがうまくいかなくてもがっかりしちゃいけません人にバカにされても恥じてはいけませんあらゆることと引き換えにしないと、一つの大事が成就するはずがないんです人が大勢いる中で、ある人が「ますほ…

第百八十八段② たとえば、碁を打つ人が

たとえば、碁を打つ人が、一手も無駄にせず、相手よりも先回りして、小さい利益は無視して大事な石を取るようなものなんですそれに関して言うと、3つの石を捨てて、10個の石を取ることは簡単でも、10個を捨てて、11個取るのは難しいんですねたった1個でも有…

第百八十八段① ある者が、子どもを僧侶にして

ある者が、子どもを僧侶にして「学問して因果の道理を理解して、説教などをして生活の糧にもしなさい」と言ったので、教えのままに、説教師になるために、まず馬に乗ることを習ったんです輿や牛車を持たない身で、導師(仏事を取り仕切る僧侶)として招かれ…

第百八十七段 あらゆるジャンルのプロフェッショナルが

どのジャンルでも、プロフェッショナルたるものは、仮にプロの中では下っ端であっても、上手いと言われるアマチュアの人と対決した場合、結局は必ず勝っちゃうものなんだよね それは、プロが十分慎重にして、軽はずみなパフォーマンスをけっしてやらないのと…

第百八十六段 吉田っていう馬乗りが言ったのは

吉田っていう馬乗りが言ったのは「馬ごとに手ごわいもんですねん。人の力では争うたらあかん、ってわかっとかんとあきませんわ。乗ろうとしてる馬をまずよう見て、得意なことと、弱点を知るべきですわね。で次に、轡(くつわ)や鞍の道具に、危ないとこがあ…

第百八十五段 城陸奥守(安達)泰盛は、比類なき馬乗りである

城陸奥守(安達)泰盛は、比類なき馬乗りである馬を引き出させる時、脚を揃えて敷居をひらりと越えるのを見て、「これは気の荒い馬である」と言って、鞍を(別の馬に)置き換えさせたんだまた、脚を伸ばして敷居に蹴り当てると、「これは鈍感なので、失敗が…

第百八十四段 世を治める道は、倹約が根本である

相模守北条時頼の母は、松下禅尼って言ったのね相模守を屋敷にお招き入れる事があった時、すすけた明かり障子の破れた所だけを、禅尼が自分で、小刀であちこち切っては張っていたので、(松下禅尼の)兄の城介(安達)義景が、その日の接待の準備をしてて、…

第百八十三段 人を突く牛は角を切り、人を噛む馬は耳を切って

人を突く牛は角を切り、人を噛む馬は耳を切って、目印にするのだその目印をつけてないのが人を傷つけた場合は、飼い主の罪なんだよ人を噛む犬を養い飼ってはならないこれらは全部罪のあることなんだよね律で禁止されてるのだ ----------訳者の戯言--------- …

第百八十二段 四条大納言隆親卿が、乾鮭というものを

四条大納言隆親卿が、乾鮭というものを天皇に献上したところ、「こんな賤しい物を差し上げるのってあり?」って、ある人が申したのを聞いて、大納言は「鮭という魚を献上しないことに決まってるならそうかもしれんが。鮭を乾したのに何か問題ありますか? 鮎…

第百八十一段 降れ降れ粉雪、たんばの粉雪

「『降れ降れ粉雪、たんばの粉雪』というのは、米を搗(つ)いて篩にかけたのに似てるので、粉雪というんだ。『たまれ粉雪』と言うべきなのを、間違って『丹波の』と言ったの。(続けて)『垣や木の股に』って歌うんだからね」と、ある物知りが言ってたよ 昔…

第百八十段 左義長(さぎちょう)は

左義長(さぎちょう。三毬杖とも書く)は、正月に打った毬杖(ぎちょう)を、真言院から神泉苑へ出して、焼き上げる行事なのだ「法成就の池にこそ」と囃すのは、神泉苑の池のことを言うんだよ ----------訳者の戯言--------- 毬杖(ぎっちょう/ぎちょう)っ…

第百七十九段 宋に渡った道眼上人が

宋(実際は元)に渡った出家者、道眼上人が「一切経」を持ち帰って、六波羅のあたりの焼野という所に安置して、特に「首楞厳経(しゅりょうごんきょう)」の講義を行って、那蘭陀寺(ならんだじ)と名づけたのねその聖(道眼上人)が申されたのが「インドの那蘭…

第百七十八段 ある所の侍たちが、御所の内侍所の御神楽を見て

ある所の侍たちが、御所の内侍所の御神楽を見て、人に話してたんだけど「宝剣(草薙の剣)を、あの方がお持ちだったよねー」なんて言うのを聞いて、御簾の内側にいた女官の中のお一人が「別殿に行幸される時は、(宝剣でなくて)昼御座の御剣なんですけどね」…

第百七十七段 鎌倉の中書王のお屋敷で、蹴鞠の会が開催された時

鎌倉の中書王のお屋敷で、蹴鞠の会が開催された時、雨が降った後、庭が乾かないので、どうしようかと会議したんだけど、佐々木隠岐入道が、おがくずを車に積んで、いっぱい献上したんで、庭一面にお敷きになって、泥の心配がなくなったんだ「おがくずを取っ…

第百七十六段 宮中の「黒戸」は

宮中の「黒戸」は、小松御門(光孝天皇)がご即位なさって、昔普通の人(まだ天皇ではなく、臣下)でいらっしゃった時に戯れに料理を作られたのをお忘れにならず、いつも料理をなさってた部屋なのね薪ですすけてたので、黒戸と言うってね ----------訳者の戯…

第百七十五段③ 酒っていうのはこんな風に不愉快に思うものではあるけど

酒っていうのはこんな風に不愉快に思うものではあるけど、自ずと捨てがたいシチュエーションもあるでしょ月の夜、雪の朝、桜の花の下ででも、のどかな気分で語り合って盃を差し出すってこれ、いろいろと盛り上がる要素だよね退屈な日、思いがけず友だちがや…

第百七十五段② 他人ごとやと思って見てても、不愉快

(酔っ払いは)他人ごとやと思って見てても、不愉快やね思慮深そうな雰囲気で、魅力的に見えてた人でも、考えなしに笑い騒ぎまくって、言葉数も多いわ、烏帽子はゆがんどるわ、衣服の紐をはずして、ふくらはぎを高く掲げて、隙だらけで、不用意な様子は、い…

第百七十五段① 何かあるたびにすぐ酒をすすめて

世の中には納得のいかないことが多いもの何かあるたびにすぐ酒をすすめて、無理やり飲ませるのを面白いと思ってんのは、なんでやねん!て、ほんま理解できへんわ飲まされる人の顔は、辛抱できへん感じで眉をひそめて、人の目を盗んで酒を捨てようとしたり、…

第百七十四段 小鷹狩り向きの犬を、大鷹狩りに使ってしまったら

小鷹狩り向きの犬を、大鷹狩りに使ってしまったら、小鷹狩りには使えねーってことになるって言います大を選んで小を捨てるっていう理屈は、まったくその通りなんだよね人にはやることがたくさんあって、そんな中でも、仏道に励むことを楽しみにするのより味…

第百七十三段 小野小町のことは

小野小町(825年頃~900年頃。生没年不詳)のことは、全然解明されてないんよ衰えた様子は「玉造」という書物に書いてあるがこの書物は、(三善)清行(847~919)が書いたという説があるけど、弘法大師の著作の目録にもこれが入ってんのよねけど、弘法大師…

第百七十二段 若い時は血気があり余ってて

若い時は血気があり余ってて、心が物にいちいち動揺したり、情欲も多いのさ身を危険にさらして砕け散ってしまいがちなのは、球を転がすのにも似てるよね派手派手しくてきれいなのが好きで、お金をさんざんを使って、かと思ってたら、それを捨てて(出家して…

第百七十一段 「貝覆い」をする人が

「貝覆い」をする人が、自分の前にある貝を差し置いて、よそを見渡して、人の袖の陰や膝の下まで目を配ってたら、その間に、自分の前にあるのを人に覆われてしまうのだよよく覆う人は、遠くの貝まで無理やり取ろうとしてるとは見えず、近いものばかり覆うよ…

第百七十段 それほどの用事もないのに人のところに行くのは

それほどの用事もないのに人のところに行くのは、よくないことだよ用があって行っても、その用事がすんだら、すぐに帰ったほうがいいね長居するのは、すごく見苦しい 人と向き合ってると、言葉数が多くなって、身体も疲れるし、気分も落ち着かず、いろんなこ…

第百六十九段 何ごとかの『式』ということは

「何ごとかの『式』ということは、後嵯峨天皇が在位されてた時代までは言わなかったんだけど、最近になって言うようになった言葉である」とある人が申しましたけど、建礼門院右京大夫が、後鳥羽院のご即位後、宮中に再就職したことを言うのに「世のしきも変…

第百六十八段 年老いた人が、一芸の才能があって

年老いた人が、一芸の才能があって、「この人が亡くなった後は、誰に質問したらいいんだろう」なんて言われるのは、老いの心強い味方であって、(そんななら)生きているのも無駄にはならないよとは言っても、年を取ってるのに衰えた所が無いっていうのも、…

第百六十七段 一つの専門分野に携わってる人が

一つの専門分野に携わってる人が、自分の専門以外の分野の会合に参加して「ああ、自分の得意分野の話だったら、こんな風に関係ねーってスルーしたりはせんのやけどな」とか言ったり、心の中でそう思うことはよくあるんだけど、これ、めっちゃダメだと思うん…

第百六十六段 人がそれぞれに仕事に励んでるのを見てたら

人がそれぞれに仕事に励んでるのを見てたら、春の日に雪で仏を作って、そのために金銀、宝玉の飾りを取り付けて、お堂を建てようとしてるのに似てるんだよねその建物ができるのを待って、雪仏をうまく安置できるもんかな?(溶けるし。できないできない)人…